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外貨預金とは?
為替の急落は、1月15日に発表されたシティグループの2007年10〜12月期決算におけるサブプライム巨額損失計上がきっかけ。同社は昨年公表していた損失額80億〜110億ドルはおろか、市場の損失予想額100億ドル半ばさえ大きく上回る235億ドルの損失を計上し、98億ドルもの最終赤字を吐き出した。金融不安、景気後退懸念を抱いた資金は米国から逃避し、円高ドル安が進行、1月16日の東京市場では前日比1円27銭円高の1ドル=106円22銭を付けた。
為替が計上した損失のうち181億ドルがサブプライム関連商品。残りは消費者金融などそのほかの融資の焦げつき増加による。特に目を引くのは、サブプライムショックによる余波の大きさである。サブプライムローン関連の巨額損失に、「景気が冷え込み、個人の所得が減少し、融資の焦げつきが増える“いわば古典的な不良債権問題”」(中川隆・大和証券SMBC金融市場調査部次長)が追い打ちをかけている為替だ。
優先株公募に減配迫られた苦渋の選択
シティは損失で傷んだ財務基盤を改善するために、昨年の追加損失計上時同様の145億ドルの優先株増資と減配を発表した。ここにシティ経営陣の苦悩が見て取れる。
外貨預金のうち125億ドルはシンガポール政府投資公社(GIC)、クウェート投資庁といった国富ファンドなど特定の投資家が私募で引き受けるが、残りの20億ドルは公募。あまりの巨額損失に機関投資家からの資本調達が追いつかず、公募せざるをえなかったと見られる。
加えて、外貨預金である。米国市場では、「銀行株は債券と同様に位置づけられてきた」(石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)。一定の配当を得続けることこそが投資妙味とされ、減配は銀行経営者がなんとしても避けたいと考えることだ。実際、シティは20年あまり、外貨預金したことがなかった。それが今回、配当を第3四半期までの1株当たり0.54ドルから4割減の0.32ドルに一気に引き下げた。減配という苦渋の選択をせざるをえないほど、今回の損失計上の衝撃は大きかったのだ。
では、今後、サブプライム関連商品や融資の焦げつきに伴う損失の拡大は打ち止めとなるのか。答えは否である。
IPOの2007年9月末のサブプライム関連商品保有額は546億ドル。2007年10〜12月期に計上した損失額はその約3分の1だ。一方、モルガン・スタンレーは2007年8〜11月期にサブプライム関連で78億ドルの損失を計上した。2007年8月末のサブプライム関連商品のヘッジなどによる相殺分を考慮したネットの保有額は104億ドル。8〜11月期に計上したサブプライム関連の損失額は保有額に対して7割強に上る。
IPOしている資産の内容によって差が生じるとはいっても、シティの損失計上額は「少な過ぎる」と映る。
焦げつきが増え始めた米国の消費者向け融資
加えて、年明け以降サブプライム関連商品の価格のベンチマークとなるABX指数(AAA格)は70前後で推移しており、さらに水準を下げている。シティは2007年12月末で373億ドルと依然巨額のサブプライム関連商品を保有している。さらなる損失拡大の懸念は消えない。
今回の決算で明らかになった新たな火種は、IPOの融資の焦げつき(見込みを含む)による損失増加。その損失は、融資に対する貸倒損失増加によるものと、将来の焦げつきに備えた貸倒引当金繰り入れ増加に大別できる。
前者が15億5900万ドル、後者が38億2100万ドル、合わせて53億8000万ドルの増加、その合計は75億2200万ドルと2006年12月末に比べて3.5倍にふくらんだ。下の表に見るように、その融資関連の損失の7割弱を占めるのが米国のホームエクイティローン、自動車ローン、カードローンなどの個人・消費者向けローンである。
株の損失計上が少なかったJPモルガン・チェースも10〜12月期決算で17億ドル強の融資の焦げつき(見込み)による損失がふくらんだ。
ここにきて、米国経済の減速傾向にはさらに弾みがつきつつある。年初からの株価下落に拍車をかけた失業率上昇、雇用の悪化に加えて、健闘していると見られていた消費にも暗雲が立ち込め始めた。2007年12月の小売売上高は前月比0.4%減と、2007年6月以来の減少である。それだけでなく、10月、11月の売上高が同0.2%増、同1.2%増からそれぞれプラスマイナス0.1%増へと下方修正された。消費が冷え込み、米国景気がさらに減速すれば、融資絡みの焦げつきはさらに増加することになる。
株はまさにこれからだ。損失の底は見えない。シティはサブプライムの底なしの損失地獄に陥りつつある。今後、拡大する損失を資本増強で補えなくなる可能性もある。さらなる窮地に立たされる恐れはぬぐい切れない。
サブプライムローン関連の巨額損失に苦しむ米国金融機関。政府系投資ファンドが中心となって支援を行なってきたが、初めて銀行が、しかも邦銀が出資することになった。米証券会社大手のメリルリンチに、みずほコーポレート銀行(CB)が12億ドル(約1300億円)を出資することで合意したのだ。
メリルは、2007年7〜9月期決算で、株関連証券の評価損として79億ドルを計上。シンガポールの政府系投資ファンドなどから62億ドルの出資を受けたものの、10〜12月期決算で、さらに150億ドル規模の追加損失を計上する見込みだ。
このためメリルは昨秋、みずほCBに出資を要請。みずほCBは12月頃から検討をスタートさせたという。ちょうど、シティグループなど大手米銀がサブプライム支援基金構想をぶち上げ、邦銀に融資を要請していた頃だ。
株は「スキームが不透明だったことに加え、奉加帳方式では効果が乏しい」(みずほCB幹部)として基金への融資を見送る。その一方で、メリルの要請には応じる方向へと突き進んだという。
もともとみずほCBは、モルガン・スタンレーなどと親密な関係にあった。欧米でのビジネスではもちろんのこと、日本法人のモルガン・スタンレー証券の会長に、みずほ証券会長だった福田眞氏が就任するなど関係を強めていた。
だが、この時期、メリルの要請に応じたのはなぜか。年率9%という高配当は非常に魅力的であり、「あくまで純投資」と強調する。しかし、事情に詳しい関係者は、「人間関係が大きな要因」と指摘する。